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怪異皆伝の書。
そこには妖の召喚の仕方や祓い方が事細かに記されていた。
しかしながらこの書の作者は不明だ。
なので本当にここに書かれた術が有効なのかは試してみないと分からない。
「召喚術ねぇ……………」
そう呟く利音は試してみるつもりだと真尋と緋葉は察した。
「利音殿、無闇矢鱈と妖を呼び出すのはお止め頂きたい。
下手したらこの家も利音殿の実家の二の舞になってしまう」
宗像家の庭と家が利音が勝手に大百足を開放してしまったせいで破壊された。
彼が実家から勘当された大きな原因はそれだ。
緋葉はそれを危惧している。
「………ほんっと、緋葉っていつの間にか俺の保護者みたいにうるさくなったよね」
最初は助けられた恩からあまり口出ししなかったのに、最近は遠慮が無くなりよく苦言を呈するようになった。
「それは利音殿が危なっかしい事をなさるからだ。
いつか取り返しのつかない事が起きるやもしれぬと私は不安なのだ」
いくら利音が強いからと言って、もしもが無いわけではないだろうし、周りの者が巻き込まれ、取り返しのつかない事になるかもしれないと緋葉は危惧している。
「………分かった分かった。
やるなら山奥で、しっかり下準備してから!!
それでいいでしょ?」
緋葉の説得により、今すぐ使う事は諦める。
そしてこの巻物は倉庫へと他の仲間と共に納められるのだった。
しかし気がかりなのは売った男性についてだ。
男性は祖父の遺品と言っていたが本当だろうか?
真尋はどうも嫌な予感がしてしまうが、利音は気にも留めていないようだ。
「ねぇ緋葉、本当にこれ大丈夫と思う?」
利音が共感してくれないので緋葉に意見を求める。
「………まぁ私もあの客の様子は気にはなるが、利音殿は何言っても聞かぬだろう。
最早成るようにしか成らぬ」
「………………」
緋葉でさえも利音の趣味に諦め気味なので真尋もこれ以上何も言えなかった。
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