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そして利音は店を閉めて、軽の愛車を出しに行く。
店の前に停めてある修哉が乗って来た車の後ろを着いて行くつもりである。
車に乗り込んだ所であることを思い出す。
「あ、真尋に連絡してないや」
出掛けている真尋の事をすっかり忘れていた。
何も知らされず帰って来たら混乱することだろう。
利音は急いでメッセージを入れ、車を発進させる。
その頃真尋は友人である三村と花田と共に、妖怪カフェなる所にやって来ていた。
妖怪好きな三村と花田。
先日花田が「妖怪カフェが出来たらしいから行ってみようと思うんだけど、一緒に来ない?」などとメッセージを真尋に送ってきた。
正直妖怪にそれ程興味のない真尋は断ろうかと思ったが、暇だし、それに妖怪カフェとはなんぞやと少々気になってしまったので行くと返事をした。
そして二人と中に入ると店内は提灯のお化けを模したライトが薄暗く照らしていて、和傘のお化けの置き物がレジ横に飾られていたり、壁には一反木綿や首を伸ばしたろくろ首のイラストが描かれている。
すると三人を猫耳を付け、膝丈にアレンジされた和服姿の女性の店員が出迎える。
「いらっしゃいませ~
お客様3名様こちらへどうぞ〜」
店内の不気味な雰囲気とは裏腹に元気よく接客する可愛らしいその店員に席に案内される。
妖怪をコンセプトにしているようだが、店内のおどろおどろしい雰囲気と店員のメイドカフェのようなコスプレのギャップがカオスで、三人は苦笑した。
「なんか思ってたのと違う」
花田は店員の制服と元気いっぱいな接客にこれじゃない違和感を抱いた。
「でもちょっと可愛いかも」
女性である花田の違和感とは逆に男の三村は満更でも無い様子だ。
「確かにアレはアレでアリだと思う」
コンセプトが一貫してないようにも思えるが、このギャップも悪くは無いと真尋も三村の意見に頷くと花田は嘘でしょと呆れた様子で首を横に振った。
それからメニューを見ると、また奇抜な名前が並んでいる。
「アマビエのウロコパフェ」やら「一反木綿巻きクレープ」やら「雪女の練乳かき氷」など、よく分からないメニューが並んでいる。
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