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あまり美味しそうに感じない名前が並ぶメニューの中から何にしようかと選ぶ。
何を頼むか決まった所で店員を呼ぶ。
すると狐のモフモフの耳を付け、胸元を開け、パンツが見えそうなほどの丈の和風の衣装を着た女性店員が注文を聞きに来て、呆気に取られる。
「ご注文お決まりですかぁ?」
「えっと、はい………じゃあ俺、鳳凰風唐揚げと雪女の練乳かき氷」
「私はこの、小豆洗いお手製あんトーストと河童の採れたて尻子玉おしるこ」
「僕は………貴方も食べれば預言者に?件の牛丼と、僕も河童の採れたて尻子玉おしるこを」
ツッコミどころの多いメニューを読み上げ注文を頼み、コスプレ店員は厨房へ急ぐのだった。
そして運ばれてきた食事を見て驚く。
名前に反してごくごく普通の食べ物だった。
「やっぱりこれじゃない………」
コンセプトがブレブレなこの店に花田がそう言った。
食べ終わった後スマホを取り出す真尋は、利音からメッセージが届いている事に気が付く。
しかも店を閉めて、巻物の元の持ち主の家へ向かっていると言う旨が書かれている。
「は?」
「どうしたの?」
意味の分からない文章に思わず口に出てしまって花田に心配されてしまう。
「いや、何でもない………
ああでもちょっと、バイト先でトラブルあったみたいで、ごめんけど戻んなきゃ」
「そうなの?大変ね」
会計を済ませ、真尋は二人と別れると利音に電話を掛けた。
『もしもし』
「もしもし…ってあれ?その声……」
電話から聞こえてきた声は利音ではなかった。
『すまぬ。利音殿は今運転中だ』
電話の主は緋葉だった。
運転中の利音が出てと緋葉にスマホを渡してきたので仕方なく代わりに電話に出た。
「えっと、色々どゆこと?
てか俺はどうすればいいの?
そっち行った方がいい?」
ひょんなことから妖退治に行くこととなったらしい利音らに自分も加勢すべきかと相談すると、緋葉は運転中の利音に真尋の言葉を伝え、指示を仰ぐ。
すると真尋の耳に電話の遠くからいらないと無情な一言が聞こえ、ああそうと、じゃあもう帰ってゆっくりしてるからと返事をした。
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