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そして高校を卒業してこの宗像骨董店と言う名の骨董屋にやって来た初日の事。
店の説明等を受け終えて奥の居間で客の少ないこの店の様子を窺いつつ、ゆっくりお茶を頂いているのだが、さっきから利音の視線が真尋に突き刺さっている。
「…………」
切れ長で少し重たい二重瞼の整った顔立ちをしているが、無表情で無愛想な彼は何を考えているか分からない。
「……あの、何か?」
「いや……君、やはり不思議な気配がすると思って。
君は人か?」
「……え?
いや、俺は人間ですよ。
何言ってるんですか……」
心臓がドクリと跳ねた。
人なのかと言う問いに思わず人だと答えたが、この人は"そっち"側の人なのかと思った。
実際真尋は自分自身に秘密を抱えていた。
「人にしては妖の気配がするのは何故?
混血では無いのか?」
「…………」
ああ、この人には隠しきれない。
しかも只者ではない。
自分の正体を見分けられる者などそうそういない上に、色々と知識がありそうだ。
彼は"それら"を生業としているのだろうか?
真尋は察したように重い口を開く。
「俺は人間ですよ。
でも天狗の血も引いてます。」
「天狗……やっぱり妖との混血か」
納得したように利音は頷いた。
高住真尋、彼は妖の血を引いている。
「ええでも、高祖父がです。
俺は会ったこともないし、母や親戚も天狗の能力は受け継いでないです。
所謂先祖返り?隔世遺伝?と言う奴ですね。
と言っても天狗の能力が発現したのは10歳の時ですが」
「ほう、それは面白い……
何故力が発現するまでそんなタイムラグがあるんだ?」
真尋の話を利音は興味深そうに聞いており、ぶつぶつと独り言を呟いている。
この世には数多くの魑魅魍魎が巣食っている。
鬼や、真尋の先祖の天狗、悪霊と言った一般的に人の目には映らない不確かだが確実に存在するそれを彼らは総じて"妖"と呼ぶ___
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