不思議な骨董屋

5/8
前へ
/426ページ
次へ
「今度は貴方の番です。 貴方は何者ですか? 色々妖について知識も力もありますよね?」 「……」  そう、彼も普通の人間ではない筈。  それは真尋に問うてきた内容が物語っていた。  何者なのかと問われた利音は10秒ほど真尋を見つめたまま無言になった後目をそらすと、口を開いた。 「俺は骨董好きのただの人だよ。 まぁ、曰く付きな物は良く集めてるけど」 「いや、ただの人ってことはないでしょ。 俺が普通じゃないって気づいたんだし」  どうも彼は自分のことをあまり話したがらないらしい。  けれど真尋だって自分のことは話したのだから、彼も話してくれないとフェアじゃない。  利音は食い下がる真尋に仕方ないと諦めたように、ため息をついて話し始める。 「確かに俺は知識も力もあるよ。 そういう家系だし、実際実家も妖祓いの生業なわけだし」  やはりそうか。  真尋は納得した。 「でも俺は家を出たし、今はただの骨董屋であって関係ない。 俺は俺の自由にやってんの」  利音は妖祓いの生業の家に縛られたくないと実家とは縁を切っているという。  自由気ままに生きたいと言う彼の考えに真尋は少しだけ親近感を覚えた。  ただひとつ、疑問が残る。 「あの、俺が妖っていつ気づいたんですか?」 「ん?まぁ最初から」 「だったらなんで俺を雇ったんですか? だって実家は妖祓いの仕事してるんでしょ?」  普通妖を滅する立場の人が、得体の知れない妖の気配を纏った者を自ら引き込むだろうか?  すると利音は口角を上げ不敵な笑みを見せ、こう言葉を返した。 「だって面白いでしょ。 人と妖怪の混血なんて滅多に無い。 しかも混血のようでまた違った気配だから余計に…… 悪い気配はしなかったから君を知りたいなって」 「……っ」  好奇心が強い彼は、得体の知れないものを見てみるのが趣味だ。  そんな呆れた動機に真尋はポカンと口を開け唖然とするばかりだった。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

340人が本棚に入れています
本棚に追加