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作者の念が籠った掛け軸。
そもそもそんな物を売っちゃ駄目だろとツッコミが来そうだが真尋の考えは違った。
「この掛け軸そんな上手いとも思わないですし、普通に売っても売れなさそうじゃないですか?
いっそ目が動く曰く付きですよーってすれば利音さんみたいな物好きが買ってくれそうですけどね。
あとネットで出してみるのもいいんじゃないですか?」
真尋の思ってもない提案に利音はその手があったかと感心する。
早速利音はその掛け軸をネットオークションに出品し、目が動くヤバい掛け軸とキャッチコピーを書いて出してみると何人かの入札があり無事売れた。
「成る程、こんな物を収集する物好きは結構いるもんだね」
「ほんとにあんな変なもの欲しいと思う心理がよく分かりませんね」
「………」
利音の意見に同意する真尋の言葉には彼の表情を見るに他意は無さそうだ。
ただ本当に同意見なだけで、それが利音の趣味を間接的に批判している事には気付いていないのがまた質が悪い。
「君って不思議な子だよね」
「まぁ、天狗の力は受け継いでるんでそれなりの神通力なら使えますけど……」
「へぇ、神通力使えるんだ。
今度見せてもらおう」
ゴーイングマイウェイに自由に突き進むタイプの利音に少しばかり天然な真尋。
噛み合ってるのか噛み合ってないのか分からない二人はこうして出会ったのだった。
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