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出会い
服のいたるところに葉やクモの巣をつけながら獣道を進んでちょうどよい木を見つけた。
ここにしようと、カバンから縄を出していると、後ろから服を引っ張られた。
急に周囲の温度が下がった気がして、冷や汗が出た。
無視して縄に首をかけるが、あれほど強く結んだはずの縄がほどけて、身体は地面に落ちた。
―またかよ…
俺はため息をついて、振り返った。
そこには俺の服をつかんだ女の子が立っていた。
―これで何度目だよ。
いつもこうだ。自殺しようとするたび邪魔が入る。
こうなると覚悟を決めるしかない。
これまでの経験から、この状況を乗り切る方法は一つ。
女の子の願いをかなえるしかないのだ。
あきらめて、女の子と視線が合うようにしゃがみこんだ。
「何で死んだんだ?」
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