保険医との秘密

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そして、月曜日。 夜野朱莉は保健室に来ては、寝ないで読書なんかを始めていた。 「夜野、保健室で読書はやめなさい」 「だって、陽向先生が仕事してる時は邪魔したくないんですもん」 「そんな事はいいから、寝てろ」 「フッ 先生、敬語なくなりましたよ?」 「あっ… はぁー全く」 「今日は何されてるんですか?」 「嫌、特には何も」 「ふふっ 暇なんですか?」 「暇じゃないけど、構って欲しい?」 「あ、陽向先生… 私勉強しますね」 「そうか」 燐はフッと笑って安心した顔をしていたが、カーテンから手が伸びてきて中に引っ張られた。 「…! 夜野?」 「ふふっ 抱きついてみました」 「…学校だから、ダメ」 「少し真面目になりましたね?」 「教師対応中だからな」 「ふぅん? なら、また添い寝してくれるならやめます」 「仕方がない子ですね」 「陽向先生もでしょ?」 「…惚れた方が負けか」 燐はそんな言葉を呟いていたが、朱莉はフッと微笑むと勝手に燐の手を頭へと持っていく。 「いつから、手動になった?」 「今は保険医対応でしょ?」 「全く、朱莉には敵わないな」 「え? 今、名前…」 「夜野、早く寝ろ」 「あー、戻った」 「残念そうな顔してもダメ! 早く寝ないとやめるぞ」 「わ、分かりましたから」 陽向が暫く頭を撫でていると、朱莉は気持ち良さそうに寝息を発てていた。 「全く、手が掛かる子だな」 「スゥー」 「おやすみ、朱莉」 そう告げると、燐は朱莉の頬に優しいキスを落としたのだった。 こうして眠れない姫は質の良い睡眠と優しい王子様を手に入れる事ができたのだったー。 ー完ー
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