保険医との秘密

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そして添い寝レッスンを開始して6日目の朝。 今日は土曜日で学校は休みなのだが、夜野朱莉はベッドで気怠そうに天井を眺めていた。 「んー 熱いし、頭重い!」 「朱莉姉さん? 何か先生来たんだけど?」 「え? 誰?」 「陽向って言ってた」 「な、何で?!」 「嫌、何でって言われてもね?」 そう告げて呆れているのは、朱莉の弟の紫音である。 「とりあえず、上げるけどいい? 雨降ってるし濡れちゃうから」 「…う、うん?」 朱莉は熱で何が何やら分からなかったが、とりあえずは上がって貰うことにした。 朱莉が怠そうにベッドに寝ていると、ノックが二回程鳴り燐が入ってきた。 「陽向先生、どうして?」 「昨日、少し怠そうにしていたから様子を見に来たんだがやっぱり風邪だったか」 「流石保険医ですね? そんなの普通分からないですよね?」 「夜野の事はいつも見ているからかな」 「え?」 「薬は飲んだのか?」 「えっと、まだです」 「食欲は?」 「あります」 「フッ なら、キッチン借りる」 「え?」 朱莉のビックリした顔を余所に燐はキッチンへと向かうと、お粥を作っていた。 「朱莉姉さん、あのイケメン誰なの?」 「学校の保険医だよ」 「ふぅん? 保険医の先生がわざわざ休日にお見舞いねぇー 朱莉姉さんの事好きなんじゃね?!」 「…そんな事ある訳けないでしょ? 紫音ったら、ませてるんだから!」 「着替え手伝う?」 「いい! 自分で出来るから」 「ふぅん? なら、陽向先生にしてもらえば」 「なっ?!」 「朱莉姉さん、真っ赤」 「熱あるからだもん」 「朱莉姉さんも好きなんじゃん?」 「え?」 朱莉がビックリした顔で紫音を見つめると、ノックの音がして燐がお粥を運んできた。
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