保険医との秘密

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「…!」 「なら、良かったな? 後は眠れたら治るだろうがどうしたもんかな」 「添い寝してくれません?」 「…!」 「土曜日はカウントされませんよね、すいません」 「嫌、そうじゃなくてだな」 「はい?」 「んー まあ、いいか」 「な、何ですか? 気になるじゃないですか?!」 「今日は教師じゃないから」 「はい? どういう意味でしょう?」 「だから、教師の立場を利用して夜野に会いに来たんだよ」 「え?」 「でも、今日は教師は休み」 「えっと、陽向先生一体何を仰りたいのでしょう?」 「…わかんない?」 「…分かりません、バカなんで」 「夜野は成績優秀だと聞いているが?」 「それはそれです」 「大人を苛めるな」 「ふふっ 陽向先生、子どもみたい」 「夜野は特別なんだよ」 「えっ?」 「一目惚れだったから」 「へっ?! 陽向先生、私を好きだったんですか?」 「わ、悪いか」 「でも、教師ですよね?」 「卒業したらと考えてたんだが、夜野が不眠に悩まされているって知ったら放っておけないだろ」 「じゃあ、添い寝は他の人にはしないんですか?」 「…当たり前だ」 「ふふっ そうだったんだ」 朱莉はフッと微笑むと、燐の頭をポンポン撫でてみた。 「卒業したら、付き合ってくれるか?」 「…分かりません」 「だよな」 「嘘です! 但し、卒業したらですよ?」 「大人で遊ぶつもりだったのか」 「陽向先生が卒業したらって言ったからじゃないですか?」 「…ほら、もう寝なさい」 「あー、保険医対応」 「卒業したら、彼氏対応になるかもな」 「ふふっ 何だか楽しみですね」 「ほら、寝る」 「撫でてくれたら寝れるかも」 燐はそんな発言に呆れながらも、朱莉の頭をいつものように優しい手つきで撫でていた。
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