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蜂蜜プレイは楽しかった。
ほんの遊びのつもりだった。
僕はずるいんだ。
君が僕に、僕が君に。ちゃんと性的に反応するのか確かめてみたかった。
君の甘い背中を舐めて。
背中だけでぐずぐずの骨抜きみたいになっちゃった君は、すごく可愛いかった。
君の身体に僕の欲望をかけてみた。
こんな気持ちは初めてだ。
君の身体を僕の液体と蜂蜜でぐちゃぐちゃにしながら、これはマーキングだって思った。
僕のものだって。
一晩経ったら怖くなった。
親友みたいに優しい気持ちを持っていたいのに。
君のことを閉じ込めたり支配したり、そんなことがやりたいわけじゃないのに。
セックスなんてごはんのあとのチョコレートみたいに思ってた。
好きだし美味しいけど、あったら嬉しい、くらいの。
だいたい僕はごはん自体忘れやすいし。
君が僕の頭につるつるしたガウンをそっと被せた。
花嫁さんのヴェールみたいですね、なんて言う。
淡いグレーにレースの縁取りがついたナイトガウンみたいなものはクロッキーの講義のBL先生が貸してくれた。
蜂蜜プレイのあとはルイが女装プレイするんだって。
先生、最近僕に会うとすごく楽しそう。
僕もそこを読んだ。
ルイは白いドレスを着てた。それは僕にウェディングドレスを連想させた。
あれは甘いけど、ちょっぴり切なかったな。
自分が女の子だったらって、そんな台詞もあった。
お世継ぎ問題もあるし、高貴な身分は楽じゃない。
泣かないでくださいって君が言う。
「ミカミさんが俺を抱きたいならそれでもいいです。
ミカミさんが俺に女の子の格好をしてほしいって言うならします。」
君はガウンごと僕を抱きしめる。
僕たちは下着だけでお化粧ごっこをしていたから、肌が直接触れ合う。
つるつるしたガウンの生地も触れ合う。
「でも、もうちょっと見ていていいですか?」
言いながら君は頬を染めた。
すごくかわいいです、と。
レースの縁取りの影とマスカラを塗った睫毛の影が色っぽいんだと、ほんとうに愛おしそうな顔をして僕を見た。
怖いんだ。
君がこんなに優しくて、あんまり素直に僕を受け入れてくれるのが。
「カシワダくんどうしよう。」
僕は君にしがみついた。
君に身体まで溺れちゃったらどうすればいいんだろう。
君だって、いつか、いなくなっちゃうかもしれないのに。
「もしカシワダくんとのセックスが、すごく良かったら、もう女の子とのセックスになんか戻れない。
カシワダくんがいなくなっちゃったら、僕はどうすればいいの?」
酷いなぁって君は優しく僕の頭を撫でた。
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