告白

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「でも、せっかく解禁になったなら一回くらい飲んでもいいんじゃない?」  この人、お酒が好きなんだろうな、と聞かなくても分かった。  継母が酒好きで、よく飲んでは僕に絡んできた記憶から女性があまり飲むのは好ましくはなかったけれど、この人が飲んだらどうなるのか、ということには少し興味があった。 「……覚えていてくださったのは恐縮ですが、先輩、バイトの方は大丈夫なんですか」 「あ、うん……一応空けてあるから、それは大丈夫」  この人のバイト先は地元の洋菓子店で、チェーン店ではないにしろ近隣に何店舗かある大きなお店だそうで、その日に休みをもらうのがかなり難しいことは自分にも分かる。 「……すいません」 「全然。飲みに行こう、ってあたしが声かけたわけだし。蓮見君は忘れててもいいけど、あたしが忘れたら申し訳ないから。で、どうする?どっか行く?」 「ええと……」  今まで、そんな日に街に出たことはない。  むしろ、怖い。  プレゼントもサンタクロースも、人の笑顔も。 「あの、じゃあ……お言葉に甘えていいなら、それならうちに来て頂いてもいいですか。それでお茶でも飲めたら」  一瞬、彼女の表情が揺らいだ。  それを見て、自分も思い出した。  先月、あの雷雨の日。
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