告白

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 好きという感情は、よく分からない。  感情というのは面倒で、それがあることで自分の弱みになったりする。  だから、それを押し殺すことが日常になっていたからか、喜怒哀楽自体薄い性格になった。  中学高校は男子校だったし、それでも近隣の学校の異性と付き合ってる者も居たけれど、自分はそういうことはなかったし興味も無かった。  もしも僕が誰かとそういう仲になったら、何とかして僕を父から遠ざけようとしている継母には格好の材料にされて、勉強もしないで女の子と遊んでいるとか、あることないこと父に吹き込まれて……となるのが想像がついたからというのもあるけれど。  その心配が無かったとしても、そもそも誰かを特別に思うこと自体が、自分にとっては現実味のない本の中の世界の出来事だった気がする。    彼女に対する感情は、多分『好き』に分類されるものだろうし、そう本人に伝えることにも抵抗はない。  でも、その先が見えない。  執着して、ずっと目で追って来たものが、相手も同意して自分のものになってしまったら。  気が済んで飽きてしまうのか。  それとも執着が激しくなって、束縛して誰にも奪われないようにしたくなるのか。  どちらにしろ、自分の性格からして良い方向に転ぶ気がしない。
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