告白

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 ずっと昔。継母が選んで来たクリスマスケーキのクリームがどうにも脂くさくて食べられなくて。  幼い弟に食べさせながら言っていた。  お兄ちゃんは、お母さんが買ってきたものは食べられないんですって。好き嫌いして我儘でしょうがないお兄ちゃんねえ。  ――――別に、愛されたかったわけではないけれど、何かにつけてそう言われたら、実の親からでなくても自分は欠陥品だとどうしようもなく思い込まされる。 「……それなら、行儀悪いけど、全部半分ずつしてもいいですか?全部、食べてみたいです」 「いいよ。もちろん。じゃあ、お茶はどうしようかな。それならやっぱり普通の紅茶の方がいいかな」 「ケーキ食べた後に、フレーバーティーの方は飲んだらどうですか」 「あ、そうか。じゃあそうする」  嬉しそうな彼女を見ると、考えさせられる。  何が、この人は楽しいんだろう。  こんな、……人から嫌われて、まともな交流もできなくて、誰も幸せにできない僕と。  クリスマスイブだというのに、味気ない一人暮らしの部屋で、二人でケーキとお茶を選んで、それだけのことが。 「あの」 「ん?」 「すいません。ケーキの前に、……抱きしめてもいいですか」  驚いて当たり前だ。
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