雷鳴

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「どうなの?実際。史香的には蓮見君は」  友人の沙紀に昼の学食で聞かれたのは、ちょうど最後に彼に会った頃だったと思う。  次の講義への移動途中、階段で会って他愛も無い話をした後のことだった。 「どうって……ちょっと変わってるけど、別に。あたしは嫌な思いしたことないし」    「それだけ?」 「うん」 「二人で紫陽花見に行ったり、夏休みにも会ったりしたんでしょ?」 「うん。高校生の時から通ってる古本屋さんがあって、古典の資料も多いから卒論の参考になるかもって声掛けてくれたから」 「だから、なんで彼が史香にそういうお誘いを掛けるか考えたことない?」  半ば呆れた顔をしているように見えるのは、気のせいだろうか。 「話しかけやすいから、ってだけじゃない?」 「は?」 「いや、ほら、サークルとかで後輩の情報ある人からは、いろいろ噂は聞いてるけど、……あたしだと話しやすいんじゃない?同学年じゃないし」  沙紀の呆れたような顔が、明らかに呆れた顔になる。 「え。なに。違う?」 「ごめん。それ、はっきり言ってかわいそうだわ。彼が」  いや、さすがにこっちも大学4年にもなれば沙紀の言いたいことは分かるけども。  首を傾げて、少し考えて私は言った。
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