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彼女はきょとんと僕を見つめて、それからひとつ息をついて苦笑いする。
「……なんで?もう一度聞くけど」
「……分からないけど、そこに先輩が居るとすごく……全部がとてもきらきらして見えて。信じられないくらいで。髪も触りたいし、頬も触れたいし、ひとつひとつじゃ足りないから、まとめて全部抱きしめたい、……って感覚です」
「です、って言われてもねえ……」
「何か違うのは分かってますけど、好きっていうのは、もっと……その人のために何でもしてあげたいような感覚だと思うんです。でも、僕は……貰うばかりで、多分先輩のためには何も」
「……お茶、選んでくれたんでしょう?」
「え?」
「あたしから見たら前回と変わらず綺麗だけど、蓮見君のことだから、この部屋も多分ちゃんと片付けて掃除したりしてくれたんでしょう?」
「それは……自分がそうしたいからで」
「でも、あたしはそれが嬉しいよ。……バイト先でも冷やかされたし」
「……何を、ですか?」
彼女は笑って、言った。
「うちのバイト先ね、社員さんが自分は結婚してるんだけど恋愛話大好きで、学生バイトに皆彼氏が居るか聞くのね。で、あたしはずっとそんな話は無かったから完全にクリスマス要員だったのに、今回休み欲しいって言ったもんだから、すっごい聞かれて」
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