告白

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 ぴったり重なった胸から鼓動が伝わって、ひとつの体になったような錯覚を覚えるけれど、でもまだ僕はこの人の片耳しか知らない。 「ねえ。……答えは?先輩」  じれったくて、耳に唇をつけて催促すると困ったような声がした。 「……嫌だったら、とっくに逃げてる」 「……そういう答えが欲しいんじゃないです」  頬にキスをすると、ぴくりと体がふるえる。 「答えてくれないなら、勝手にしますよ」 「……いいよ」  僕は聞こえよがしに溜息をついた。 「狡いです。僕は言ったのに」 「……だって、そもそも、蓮見君が」 「僕が?」 「……こないだ、いきなり抱きしめたりするから……」  それを言われると、何も言えない……と思っていると 「でも」 彼女は言った。 「……分かった。いいよ。誕生日だし、ちゃんと言ってあげる。……あたしも、好きだよ。可愛いし、一生懸命で」  真っ直ぐに見上げられると、ぞくっと背中に電気が走った心地になって。  夢中で抱きしめて、唇を重ねた。  生まれて初めて貪った唇はなぜか甘くて、これからケーキを食べるのに、と全く関係無いことを考えたりした。   『告白』了
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