雷鳴

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「あのさ、……あの子って、すごく知識はあるし、頭もいいし、何でも出来る子だと思うのよ。人付き合い以外。……だから、その……こっちから見てると、アンバランスというか、どこか幼い感じがあって。その年代の男の子が考える、好きだから話しかける、っていうのと、ちょっと違う気がするんだ」 「どう違うの?」 「……言ったら失礼かもしれないけど、幼稚園の先生とか。自分が安心できる人だから、その人と話すと安心できるから、みたいな感じかな」  以前は、こっちの時間割を把握しているんじゃないかと思うくらいの頻度で会っていたのが全く顔を合わせなくなり、避けられているんじゃないかと考え始めてからは、もしかしたら偶然あの時の会話でも聞かれてしまったのではと気になってはいる。  でも。  別の考え方をすれば、今まで私だけに執着してた方がおかしい。  ちょっと変わってるのを差し引いても、あれだけ綺麗な子がなんで私なんかに興味を持っていたかって話だ。  どんなに落ち着いて見えても、まだ二十歳にさえなっていない男の子のことだ。  何かの拍子で他に興味が移ったということだって十分考えられる。
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