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電気を点けるように言ったのは彼女の方だ。
「明るいところで、ちゃんと確かめて」
暗さに慣れていた目にはきつい明かりを点けて、彼女のベッドに腰をかけると顔を背けられた。
「……脱がすよ」
「どうぞ」
パジャマの襟元に手をかけて、ふと
「寒くないかい」
間抜けなことを聞いた。
浮気の証拠が無いか裸に剥いて確かめたいなどと、酷いことを言い出しておいて今さら。
「……さっきまで暖房ついてたし、平気」
「……そう」
ボタンを外して一枚一枚脱がせながら久しぶりに見る肌は、人工の明かりの下で妙に生々しく目に映る。
首筋から鎖骨、胸の膨らみ。くびれから緩く曲線を描く腰。肩から二の腕。
下着を取った下半身に目を遣るのは憚られたけれど
「……見るなら、ちゃんと見て」
片膝を立てて彼女は挑むような眼で見上げてくる。
「……失礼」
立てた膝から脚を開くと、ぷっ、と彼女が笑って口に手を当てた。
「何か可笑しかったかい」
「自分で言い出して、いちいちそんなこと気にするのが貴方らしくて」
「別に、乱暴したいわけじゃない」
「知ってる」
まるで他人事の顔で彼女は横を向き、人形のように力を抜いて体を預ける。
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