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 体の緊張が緩んで気付けば止めていた息を吐くと、噛まれたところに舌が触れた。  今度はそっと。獣が傷を癒すように。 「……いつから君は動物になったんだい」 「人だって獣でしょ。こんなことしてるんだから」 と、彼女は脚を絡ませ、擦り寄せる。  そんな些細な仕草すら愛おしくて胸が熱くなる。  肩に置かれた手の温もりも心地がいい。 「何だか知らないけど、……あたしは貴方以外とするつもりなんて無いから。基本的に」 「……その最後のはどういう意味だい」 「男の人だってあるでしょ?誰でもいいから、どうにかして欲しいとき。……そういうのはあるけど、でも、あたしは……今はどうか知らないけど、あたししか見られないはずの貴方の泣き顔とか好きだから」 「……どうか知らないけど、って……」 「1年放っておかれたら、外で済ませてるのかと思うでしょ」  ちろりと傷を舐められて、体が跳ねる。 「……夕飯みたいに言わないでくれ。そんなことするわけないだろう」 「何でもいいけど。……だから、いちいち見なくたって、あたしを抱くのは貴方だけなんだから、少しくらい気持ちいいこと集中したっていいでしょ」  もっともな理屈に、何も言えない。 「……悪かった」 「どういたしまして。いつものことだから」
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