三度目の揀択

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三度目の揀択

「大妃様、全員集まりました」 「では、早速始めるとしよう。 提調尚宮、布と裁縫道具を準備せよ」 「はい、大妃様」 各々に配られた後、国花であるムクゲを 刺繍するよう提調尚宮が指示をした。 皆が必死で課題をこなしている中 世子は優雅に舞っている蝶を眺めていた。 (外に出れば、私もあのように・・) 「世子、聴いていますか」 中殿に声をかけられ、我に返る。 全員分の課題が目の前に並べられた。 大妃や中殿は各3名ずつ選び、世子は 1人のみ選ぶ。選ばれた者には点数が 加算され優位に立てる。 副提調尚宮に伝えられた後、 提調尚宮から結果が報告された。 「ソヨン、ヨジ、ユナ・・ 名を呼ばれた者は 大妃様・中殿様に礼を」 6人は席を立ち、大妃や中殿に向かって 礼をした。残るは世子が選んだ1名のみ。 「リア、仕切りの前へ」 「はい、提調尚宮様」 仕切りの前にリアが着くと、女官達が ゆっくり開いていく。 「中に入り、世子様・大妃様・中殿様に 礼をしなさい」 「世子様に拝謁いたします」 伏せていた顔が徐々に上がっていく。 リアの素顔を見た世子は、言うべき言葉を 発せずに、目を合わせていた。 長い間、身分の高い相手と目を合わせる ことは禁止されている為リアは目線を下げた。 「何故、目線を下げた?」 「そ、それは・・」 「あぁ、あの下らぬ規則のせいか。 余の目を見ろ、そなた 許す」 世子の言葉を聴いても、リアは目を 合わせようとしない。我慢が出来なくなった 世子は、顎に手を這わせ自分と目が合う ように固定した。 「私の命は絶対だ。次に目線を下げたら 分かっているな」 「は、はい。世子様」 大妃や中殿に挨拶をした後、その場から 逃げるように自分の席へ戻った。 世子の鋭い視線がリアに向かう。 提調尚宮から終わりの言葉が出たと 同時に世子は女官にある命を下し その場を後にした。
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