世子の思い

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世子の思い

「・・世子様」 「遅いぞリア。余をこんなに待たせる 者はいないぞ」 「も、申し訳ございません・・」 必死に謝る姿を見た世子はリアとの距離を 詰め、手を握り体を正面に向ける。 「冗談だ、そなたを見ていると何故か からかいたくなる」 「せ、世子様」 頬に触れられ、後ろに下がろうとしたが 世子が許すはずもなく、腕を掴み 引き寄せた。 「リア、そなたはもう逃げる ことはできない。余の妻はそなただけだ」 「しかし私は良人(ヤンイン)の出です。 お飾り候補だから世子嬪や側室には なれないと・・」 「誰がそんな事を言った」 世子は近くにいるパク内官に 女官を呼ぶよう指示した。 数分後、女官が姿を現した時この者で 間違いないかリアに確認する。 「この女がそなたに、あのような事を 言ったのだな」 「は、はい、世子様」 「この者を監察宮に連れていけ。 私が来るまで縛っておけ」 右翊衛に身柄を拘束され監察宮に 連行された。心配そうに見つめている リアを見て世子は益々不機嫌になる。 「あの女の言ったことは忘れなさい。 良人だろうが関係ない。 余はもうそなたを手放せない」 「世子様・・」 逃げられないよう少し強く抱き締める。 世子の気持ちを知ったリアは自ら 離れようとはしなかった。
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