青き鳥。散る。

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 それから十年の月日がたった。  夕方のニュース番組で彼は惜しまれる中、引退を宣言していた。  これからは家族のために時間を使っていくつもりだということだった。  確かにその辺のサラリーマンが人生を何十週もしないと稼げないような大金を手にした彼からしてみたら、もう働く理由もないのだろう。  私はと言えば、副業が思ったほど稼げなかったので早々に見切りをつけていた。  そして相変わらずの安月給で妻子を養うことも出来るとは思えず結婚するという選択肢は切捨てたのだった。  彼の引退に触発されたからというわけではないが、人生のターニングポイントとなりえるこの歳で、私は一念発起して転職を決意したのだった。  カップの中の冷めたコーヒーを一気に飲み干し、そして自分を活かせる仕事を探し始めたのだった。
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