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更に十年の月日が流れた。
彼の娘が芸能界に入り活躍しており、夜のバラエティ番組で父親として登場していた。
年のわりにまだまだ若々しい彼は家族で旅行やキャンプを楽しんでいるということを言っていた。
思いのほか条件に合う転職先が見つからなかった私は結局会社を辞めることなく、あいかわらずの安月給のまま生活を続けていたのだった。
淹れたてのインスタントコーヒーに口を付け舌を火傷した。
やれることの少なくなった今は、お金はかからなくとも自分が自分らしく生きられる。そんな趣味を探しているところだった。
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