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「ふっふっふっ。オレの野望を聞きたいか? 本当に聞きたいか?」
無駄に焦らし始める白鳥。
「白鳥。早く話してくれるか?」
「えーどうしよっかなぁ〜。由貴智の話し聞きたい人ー!」
「九条さん。コイツの頭吹き飛ばしていいですよ」
「えっ」
「はっ?!」
この子、時々、さらりと怖いこと言うよな。白鳥は夏菜ちゃんに抱きついて、「言うから! 殺さないで!」と、情けない声を上げている。
白鳥は、ようやく“野望”とかと言う話しを切り出した。
「オレの野望! ズバリ! 美人で巨乳で優しくてかわいい女の子と寝ることだ!」
俺は、無言で小銃を向けた。
「待ってー! 撃たないで! いいだろ?! 男はみんなそういう思考を持つ生き物だろ? だから、無言で打とうとしないでー!」
「白鳥、少し静かにしろ。逃げちゃう」
「はい?」
白鳥は、どうやら俺が白鳥を打とうとしていると、勘違いをしていたみたいだ。
俺が狙っているのは、白鳥の後ろにいる、野ウサギだ。
野うさぎは、こちらに気づかず雪を掘っている。何か餌を探しているのだろう。
その隙に照準を野うさぎに合わせる。
夏菜ちゃんが、白鳥の腕を掴み、俺が撃ちやすいように移動してくれた。
「ありがとう」
野うさぎは、土掘に夢中だ。野うさぎの動きが止まる。俺は、引き金を引いた。弾丸が野うさぎにヒットし、倒れた。
「オー! お見事!」
白鳥は俺の銃の腕前に拍手をしてくれた。なんだか、背中がこしょばゆい。
夏菜ちゃんは、倒れた野うさぎを回収。こっちに持って来てくれた。
「お腹空いたし、ご飯にしましょう」
* * *
昼飯を食い終わると、再び山頂を目指す。
雪の積雪量も増え、歩きにくくなる。しかし、俺たちは歩みを止めなかった。
“氷華”を探し出すまでは、帰らない。
「さみぃ〜」
「氷点下が下がってきてるんだ。できるだけ、丸くなって歩こう」
「……」
夏菜ちゃんの反応がない。俺は、後ろからついて来ている夏菜ちゃんに視線を向けた。
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