氷華

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ーーーー ーー 「ついた……」 山頂へ登り着くと、そこには美しい雪原が広がっていた。空気は透き通り、青空と眩しい太陽が雪原に光を照らしている。 「綺麗だな」 美しい雪原にしばし見惚れた後、俺は噂の“氷華”を探し始める。 話しでは、雪で出来た花と聞いている。 俺は、慎重になりながら、雪の中を探す。 「“氷華”どこだ? 見つかってくれよ」 しかし、“氷華”は見つからなかった。 「……やっぱり、噂はウワサだったって話しか」 諦めて、二人には見つからなかったことを言おう。それよりも、夏菜ちゃんの容態も心配だし、二人は無事に麓まで帰れたのかも心配だ。 俺は、雪を、元来た道へと戻ろうとした時ーー何かキラキラと輝くものを見つけた。 そのキラキラ光る場所へと走る。 ーーまさか、本当に?! 俺は、キラキラ輝く場所へと着き、雪の中へ膝をついた。 「どこだ? どこにある?」 絶対、見つけてやる! すると、手に雪とは違う感触に触れた。 そちらに目を向けると、 「ーーあった」 そこには、噂の花が透明に輝いていた。俺は腫れ物を触るかのように、そっと透明な花を摘んだ。 真っ白で透明な小さな花だ。手触りは、雪のように冷たく、だけど花のように柔らかな手触り。不思議な花だ。 俺は、花が崩れないようにカラの弾入れにしまった。 「これで、金が手に入るーー!」 でも、どうする? あの兄妹に伝えて、山分けにするか? それとも、黙ってこの村を出て、自分の手元に置いておく? 「……」 つくづく、人間という生き物が嫌になるものだ。 俺もやはり、貪欲な生き物の部類のようだ。 俺の決断は、『兄妹と山分けはしない』という結論に出た。 そもそも、他人同士だ。あの子たちがどうなろうと知っちゃこっちゃない。 「俺にも生きる権利はあるよな……」 俺は、大事に“氷華”を抱えて山を降りようとした時。 「ガォオオオ」 目の前にこの前の熊より大きい熊が、立っていた。すぐに拳銃を腰から取ろうとした時にはすでに遅く、熊の鉤爪が俺の顔の皮膚を剥ぎ取っていった。 激しい激痛の中、俺は熊の餌食となった。
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