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「じゃあな…」
と手を振り、廊下を出るとバッタリと兄貴の司に会った。
「翔?お前がどうして…?」
「母さんに呼ばれて来ただけだ…」
「そっか…何の話だ?」
「それは…」
俺は口を噤む。
「兄貴には内緒の話だ…」
「俺に内緒話って…さては見合い話か?」
「見合い?」
俺は神妙に呟く。
「…翔お前…今恋人、いないのか?」
「いねぇよ・・・俺は忙しいから…じゃあな」
「忙しいって…」
「兄貴は母さんに用があって来たんだろ?」
俺は兄貴が持っている書類を指差した。
「まぁな…でも、お前と雑談するぐらいの時間はあるぞ」
「生憎俺にはない…」
「何だよ!?それ…」
「俺のコトよりも・・・子供たちのコトを考えてやれ」
「お前に言われなくても…俺は常に亨と淳…美亜のコトを考えてる」
「そうか…」
二児のパパとなった兄貴。
昔のように夜な夜な遊び歩くコトがなくなった。
家族の為、仕事に邁進していた。
俺は兄貴と別れ、エレベーターホールに向かった。
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