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「恩人ね…お前は黙れっ!小夜…元はと言えば…お前が女なんて…産むから悪いんだ…」
「守…」
お義母さんは守さんを止めた。
「…こんなトコで暴力沙汰を起こせば…貴方の経歴に傷がつくわ…」
「…母さん…」
「…奥様は自分の命を懸けて、無事に大役を終えました…夫として労いの言葉は掛けてあげてください…ご主人」
「はぁ?俺が望んだのは…跡取りの男児だ…女児じゃない…東亜じゃ有名な産科医だからって…ウザイぞ…後で病院にクレーム入れてやるから…覚悟しろっ!!帰ろう…母さん」
「そ、そうね…」
二人は病室を出て行った。
守さんが力任せに閉じた扉の音が室内に大きく響き渡った。
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