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もう友達を、やめようか?
「紘平......俺達もう、友達をやめようか?」
これまで親友だと思っていた幼なじみの日向に、ある日言われた。
本当に突然だった事もあり、俺は最初たちの悪い冗談だと思った。
だけど少し寂しそうに静かに微笑む彼の綺麗な横顔を見て、そうじゃないんだって気付いた。
「お前の側にいるの、もう疲れた。
......ごめんな、ホント」
それは一体、何に対する謝罪なワケ?
悪いと思うなら、そんな事言うなよ!
そう言ってやりたかったのに。
一方的に絶交を決めた彼の方が泣きそうだったから、その言葉を口にする事が俺は出来なかった。
***
日向と俺の出逢いは、小学二年生の夏。
彼は父親の仕事の都合で引っ越してきたのだが、この田舎町ではお目にかかる事がないくらい真っ白な肌と長いまつ毛、そして大きな瞳に目を奪われた。
そのため初めて会った時、俺はその美しい見た目と日向なんていう中性的な名前のせいで、勝手に彼の事を女の子だと思い込んでしまった。
だけどすぐにそれは、勘違いだったと気付いた。
でもその時にはもう、手遅れで。
......誰にも話した事はないが、実は日向が俺の初恋の人だというのは、人生最大の黒歴史と言えよう。
それでも男だとか女だとかは関係なく、俺と彼が仲良くなるのに時間は掛からなかった。
あんな女子みたいな見た目に反し、彼はヤンチャな性格で、腕っぷしも強かった。
日向とは何度も取っ組み合いの喧嘩になったけれど、勝率は五分五分といったところか。
お互い負けず嫌いだから何度も絶交したり、仲直りをしたりを繰り返しながら共に過ごしてきた12年。
ふたりとも大学生になり、環境は大きく変わったけれど、俺達の友情はこれからもずっと続いていくものだと、何の根拠もないのに俺は信じて疑わなかった。
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