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あの日から全てが変わってしまった。
あらゆる物を奪われ、俺の日常は一瞬で壊れた。
いや、俺が気付いていなかっただけでとうの昔に壊れていた。
毎日やるべき仕事があって、かけがえのない家族や恋人がいて、下らない話や悩みを打ち明けられる友人や仲間がいる。
特別な事ではない。
多くの人が手に入れている平凡で当たり前の事。
間抜けな俺は当たり前の日常をただなんとなく浪費していた。
でもそれが人として生きる上で1番大切な事なのだと今ならよく分かる。
何故人は失わなければ気付けないのだろうか?
失った物をまた取り戻す為には恐らく大きな代償を払わなければならない。
辛い試練を乗り越えなければならない。
そこまでしても結局は取り戻せないかもしれない。
不安な思いは決して尽きる事はない。
それでも誰かが側にいてくれれば歩き出せる。
限りなく希望が無に等しくても、孤独でなければきっと歩き出せる。
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