エピローグ

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少しずつチームを新陳代謝させながら、育てていく。 結花と二人三脚で。 本当は、朝から晩まで部のことを考えて練習していたいくらいなんだけど…でも大会期間以外は、当然勉強モードに切り替えなきゃいけない。 慌ただしい…という言葉では言い表せない勢いで、時間が過ぎていく。 やるべきことはいくらでもあるんだ。 忘れちゃいけないのは、俺たちの本分は学問だということ。 俺も結花も、まだまだ学生時代の先は長い。 これからどうなるんだろうって…不安に思わないこともないけれど、一日一日を誠実に、真面目に過ごしていくしかないんだろう。 年末にいったん里帰りして、大塚先生のところに挨拶に行こうかな。先生のご家族にもできたら挨拶して…俺が怪我したときのことを『ごめんなさい』しておきたいし。 俺は、あとから知ることが結構多い。 その時は全然知らなくて、あとから「え、そんなことになってたの?」って驚くような。 結局、その時点で周りをちゃんと見ていないってことなんだと思うんだ。だから、ちょっとずつそういうことも気が付いて、ちゃんとできる大人になりたいと思う。 うん。 一つずつ、頑張って行こう。 隣に結花がいてくれるから、俺は自分の力以上のことができるんだ。 そして今日も、俺はグランドに向かう。 「凌太郎~! 見て、ちょっと曲がった!」 早めに来てセットプレイの自主練をしていたらしい健斗と一徹が、俺の姿を見つけて呼んでる。 いつの間にか増えた下級生も混ぜて、結構前からやってたみたいだ。 「おう! 今行く!」 ここが俺の居場所だ。 部室でさっと着替えてスパイクに履き替えて、俺は仲間たちのところまで走って行った。
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