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プロローグ
「え、みなみちゃんってマネージャーやめちゃったの?」
「それだけじゃなくて、もう一人の二年生マネの柏木さんも辞めるってよ」
「マジで。なんかあったん」
「ほら、みなみちゃん夏ごろから四年の本間先輩と付き合い始めたじゃん。
それが何か揉めたみたいで、やめるって」
「なんだそれ。中学生かよ」
俺、澤田凌太郎がサッカー部に入って約一年。
この間結花から合格の報告をもらって、これからやってくる幸せな日々を密かに想像してはニヤニヤして過ごしている。
表向きは普通にちゃんとしてるつもりだけど、人の少ない部室で一人で携帯に向かってニヤけてたところを見つかって、一徹と健斗には自主的に全部白状した。そして結花がこっちに引っ越してきて落ち着いたら会わせると、約束させられてしまった。
まぁ、もともとそのつもりだったんだから、全然構わない。
そんな状態の俺には、部室内の噂話なんかただのBGM…というか騒音だ。
「でもマネって2年生二人と3年生二人だけだよな。
やばいんじゃないの?」
「3年生はあと一年で引退するって聞いてるよ」
「…でもさ、俺らのチームに女子マネって必要あんの? そんな大所帯でもないし、別にいなくてもよくない?」
「そうそう。だから去年の春、1年の募集も特にしなかったんだろ?」
「去年一年、マネなしの練習や試合もあったけど、別に困ったことなかったしな」
「お前らは彼女がいるから、そういう発言ができるんだよ。部内に女子がいてくれるだけでどれだけ心が癒されるか!」
「そうだそうだ~」
「集合写真に一緒に移ってくれてるから、新入生部員だって引き寄せられてくるんじゃないの?」
「いやそれはどうだろ。
さすがにサッカー経験者じゃなければ、いくらマネージャーがかわいくてもそれだけでは入らんだろうぜ」
「とにかく女子の気配がするってのは、男子運動部には必要なことなんだよ」
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