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拓人の話しぶりから、何となく経験者の雰囲気を感じて、突っ込んで聞いてみたい気持ちが沸いてきたけど、とりあえずまずはこちらの潔白を証明しておかないと。
『触ったって言っても…脱がしたりはしてないし。
お前の言う、中学生レベルだと思うけど』
昔、拓人が言ってた。
中学の時の初彼女と、キスとか触りっこくらいまではしたことがあるって。
厳密には触りっこの『っこ』は、俺の方はさせてないし。
言い訳するつもりはないけど、誤解をそのままにしておくのもよろしくないだろう。
俺がそういうと、あからさまにほっとした声で拓人が応じる。
『あっそ…それならいいけど。
で、自宅では何をしたの?』
…なぜ俺が尋問されているんだろう。
でもさすがにそっちは、中学生レベルという言い逃れはできない。
『…う~~ん…ノーコメントで』
だんまりを通そうと思ったんだけど、拓人が脅しをかけてきた。
『……翔さんに言いつけていい?』
…なんでこいつまでそんなに結花のこと過保護にするんだよ。いいじゃん、付き合ってるんだから。ちゃんと合意だし!
でも、本当に翔さんに言いつけられたりしたら俺の身が危うい。
『…告げ口はやめてください…
夏休みに、午前中の数時間だけ時間を作って会ったことがあって。うちで志望校の相談とかして、そのあとちょっと。
大人レベル? で触っちゃったけど、最後まではしてません』
そこは自信を持って言える。
でも、拓人が電話の向こうで固まってる気配。
『………なんか、聞いてたのとずいぶん違うんだけど』
結花が千里にどこまで話してるかは知らないけど、千里がそれを拓人にそのまま伝えるわけはないだろう。
俺は高校を卒業するときに結花と付き合うことになったけど、正真正銘それが生まれて初めての告白で、初めての彼女だ。
当然そういうことをするのも…考えることすら、結花とが初めて。
でも、だからといって興味がないわけではない。
結花となら…今すぐにだってそういう関係になりたいと、内心は願ってる。
去年からずっとだ。
ただ、状況が許さなかったから我慢して待ってるだけ。
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