好きと嫌いの方程式 ４

二連覇達成

…と思っていたのに。
その日の晩、びっくりなメールがやってきた。

健太さんたちも混ぜてバカ話をするときは、メッセージアプリのグループでやることが多いんだ。兄貴が、『弟の顔見てしゃべってたら、ぶっちゃけたことは言えない』みたいな主張をするもんだから。
文字で打つのと声でしゃべるのとどう違うんだろうと、俺は思うんだけど。何せお兄様だから。

本当にここぞというときにしか逆らわない。

家族間の連絡事項は、基本的にメール。こっちは連絡事項とか、今回みたいに『三泊で大阪に試合をしに行ってます』みたいな報告をするときに使ってる。

俺が頂上決戦で大阪に来てる日程も、それ以前に結花がまたマネージャーになってくれたことも、兄貴はもちろん両親にも知らせてある。
ちなみに結花のお父さんとお母さんにも、俺から直接メールして、『真面目にちゃんと頑張ります』って伝えてある。普段の試合はいちいち連絡もしないけど、宿泊を伴う遠征試合は一応、長瀬のお母さんにだけ一報入れることにした。

結花に聞いたら、『一人暮らしなんだし、いちいち部活の予定なんて知らせないよ』なんて軽く言ってたんだけど、やっぱり気になるんじゃないかなと思っちゃって。
問い合わせてもらえばわかるように、宿舎になってる宿の連絡先と日程だけは俺からお母さんにメールしてるんだ。

今はみんな携帯を持ってるから、昔みたいに宿泊先を把握しておく必要は確かにない。でも、何か用事があって結花に連絡した時に、自室じゃないところにいる…ってのは、保護者として心配だろうなと思っちゃって。

結花が決めてくれたこととはいえ、結花の両親が大きな楽器を結花のために買ってくれて、その夢を応援していなかったわけはないし。
結花がサッカー部を選んだのは事実だけど、その中に俺が存在しているのは事実なんだから、心配して当然だと思う。
むしろ、もし俺がいなかったら結花はうちのサッカー部に入っただろうか…と考えたら、答は限りなくNoだろう。