二連覇達成

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で、たまにしか通知が来ないメールに着信があったから、もしかして何か非常事態かなと思って、ドキドキしながら開いてみたら… 『若菜と大阪まで来てる。宿舎から出られるの?』って兄貴から。 夏休みを取れる季節とはいえ、あれだけ普段から忙しくしてる人がさ。 しかも、若ちゃんは東京からいったん兄貴のところに行って、そこから大阪に回ってくれたってこと? それとも現地集合…はないな。兄貴だし。 家族が俺の試合を見に来てくれたのは、高三の夏で最後だ。 それだって、俺の怪我からの復帰戦だったからっていう理由。 決勝戦とかはちょくちょく見に来てくれてたけど、普段の試合なんかは俺が言えで結果報告するくらい。 暑いし、時間もかかるし、実際に見に来なくたって応援してくれてることはちゃんと伝わってたからさ。俺が中学に入ったころから、うちはそういうスタイルになってた。 そして大学に入ってから、真剣勝負じゃなくて俺の趣味だから…と思って、特に誘うこともしてなかった。 俺たちのチームは本当に緩い感じで、夜は基本自由行動だ。今日だって、ベンチ組とか一年生で一緒に来た部員は、何人かで外出許可を取って観光に出たりしてる。 …さすがに俺は、たとえ舘さんに怒られていなかったとしても、ここで結花を連れ出したりはしなかっただろうと思う。 なんせ、修学旅行の自由時間にジャージで京都を走ろうとした男だ。 試合のために来ているんだけど、宿舎は普通のところ。もちろん夜間練習なんてできないし、もうあとは自分のコンディションを落とさないために各自やれることをやるしかない。 本当は今も走りたいんだけどな、やっぱり知らない街を夜に走るのはちょっとどうかなと思っていたところ。 ちなみに明るい間の練習は、近隣の大学のグランドを使わせてもらえることになっている。部屋は和室の大部屋だから、ストレッチなんかは気が済むまでできてありがたい。
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