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…いいのかな。
思わず結花と顔を見合わせてしまう。
「大丈夫だから。たらふく食って行けって」
俺たちの心配なんかお見通しの兄貴に、笑われた。
兄弟なのに、いつまでたっても大人と子供だ。
多分、俺がプライベートでもキャプテンモードを少し取り入れていったら…落ち着いて大人っぽくふるまえるのかな。常にキャプテンモードは疲れるから嫌だと思っていたし、そっちを俺のメインキャラクターにするのは、今更ちょっと無理かもしれないんだけど。
拓人から、俺は『心を開いた相手に甘える』って指摘されてから、そんなもんかなと思ってたけど、もう自分でも自覚してる。
兄貴や若ちゃん、結花…翔さん、拓人。
水野さんや舘さん。
他にもたくさん増えちゃったけど、みんなが甘やかしてくれるのをいいことに、俺は甘えすぎだ。
年齢は追いつけないんだから仕方ないけど、ちょっとずつ…自分の足でしっかり歩ける大人になっていこうと思う。いつまでも末っ子を振りかざしてたんじゃ、ダメだろう。
誰に言うわけでもないけど、そんなことを心に誓った。
コース料理のメニューなんかも見えるところにあるけれど、多分兄貴もそういうのは頼まない。
俺も…書いてある値段にドキドキしながら、兄貴とおんなじ牛フィレ肉のシチューをメインに決める。
大丈夫だと言われるなら、甘えるのが弟の義務だろう。
ここで安いものを選ぶ方が失礼だ。多分。
若ちゃんと結花は楽しそうにあれこれと、いろんなものを頼むらしい。
小籠包とか、若鳥のマリネとか。
ちょっともらおう。
…と思っている表情を読まれたんだろう。
結花が少しずつ多めに頼んでくれた。
なるべく自炊をしようと思っているし、外食のときも食堂で家庭料理的なものを選ぶように心がけてる。だからこういう、絶対自分では作れないメニューがあるとかなりうれしいな。
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