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『忙しいんじゃないの？』への答えを、兄貴が教えてくれる。
「今日から合わせて夏休みを取ってるんだ。
一応実家に顔を出そうかと思ったんだけど、ちょうどいいから大阪でお前の試合を見て、それから東京までもう一回飛ぼうかってことになって。
大阪にはゆっくり来たことなかったから、二泊三日の悠々旅だな」
…ちょっと嘘だ。
夏休みって言ったって、取れても一週間だろう。
兄貴がとんぼ返りすれば、往復の移動に丸一日使うだけで済む。昨日の晩若ちゃんが兄貴のところに移動したとしたって、一週間の休みのうちの約半分をここで使ってくれる計算だ。
大阪で俺の試合を見ていくにしても、当日の朝降りて試合を見に来て、夕方の便に乗れば一日のロスで済む。
俺たちを呼んで、こうして食べさせてくれるために、さらに長い時間をここで使ってくれたんだ。それも、試合前日に呼んだらまずいだろうという判断で、到着日の夜。だからここで二泊する必要ができてしまった。
去年から九州や四国、北海道にも移動したから、飛行機を使っての移動にどれだけ手間と時間がかかるか、体感として知ってる。
俺が微妙な顔をしていると、若ちゃんに笑われた。
「凌くん、大丈夫よ。
大阪に就職した高校時代の友人がいて、明日その人に会うついでもあったから」
聞くと、二人の結婚式の案内を事前告知がてら知らせに行くんだって。
高校を卒業してからもう…７年か。
健太さんのときも思ったけど、オケの人たちってそういうつながりを切らないんだな。もう、一緒に演奏したりしてるわけではないんだろうに。
それだけ、楽しくて充実した高校時代だったってことなんだろう。
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