プロローグ

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「殿前は、特殊なんです。 学校全体の方針で、運動部の内部にマネージャーチームが組まれてて。 男子部のマネチームも女子部のマネチームも、男女混合です。 サッカー部は三学年そろったら150人超えてたから、マネも各学年2~3人いて」 そもそも殿前のマネージャーは、マネージャーじゃない。 名前も『運営チーム』とかに変えるべきだと、俺はこっそり思ってた。 「世の中でイメージされるような身の回りの世話とかではなくて、練習試合の調整とか部員のスケジュール管理とか、情報管理とか…チームの運営を取り仕切る専門集団…って感じですね。 練習試合を、学年ごとに同時に組んだりもしてたから。 プレイしないというだけで、完全に部の一員…というか、むしろ彼らがいないと選手だけでは何もできない感じ。 そういうことをしたくて殿前に進学を決める人も例年結構いるような学校なんで、ちょっと参考にならないかもしれないです。 そもそも部内恋愛は、基本禁止だし」 ちょっと話を盛っておく。俺はともかく、結花に対して男目当ての軽い女みたいな印象を持たせるのは絶対嫌だ。 去年、水野さん含め周りの数人には、結花と付き合い始めたのが俺の卒業後だと伝えたけれど、多分大多数には詳細は知られていない。わざわざ言いふらすことでもないと思ってるんだけど、知っておいてもらいたいことはちゃんと言っておいた方がいい。 いつの間にか、着替えを終えた部員たちが俺たちの周りに集まって話に参加してる。 「へ~…すげぇな。じゃぁ顧問の仕事は?」 一徹に聞かれて、改めて考える。 「…金の絡むこと、かな。あと学校の施設を使って合宿するときに手続してくれたりとか…一応公式戦には一緒に来てくれてた? あと全国が近くなってくると、生徒の応援を移動させる手配とか… よく知らないけど、何かあった時に責任取ってくれる人?」 俺がやらかした時に後始末をしてくれたのは、養護の先生と顧問だ。多分。 監督は、相手チームとのあれこれを収めてくれたはず。
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