プロローグ

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「凌太郎、そんな貴重な人材を独り占めすんなよ~」 「そうだぞ。頂上四連覇を目指すなら、しっかりしたマネがいてくれたら助かるし」 …なんと言われても、曲げる気はない。 そもそも決めるのは俺じゃなくて結花だし。 無視して帰る用意をしていると、舘キャプテンが収めてくれた。 「まぁ、人のことを俺らが勝手に決めるわけにはいかないだろ。 それに、さっき誰かが言ってたけど、そもそも女子マネが必要なのかどうかは俺たちも考えるべきだと思うぞ。 女子マネは彼女じゃない。 彼女が欲しければ自分で探せ。 ドリンクはもう各自用意でいいだろ? もちろん非常用に予備は常備するけど、応急処置セットの補充とまとめて当番制にしてもいいんだし。 ちゃんと処置ができる人ならともかく、マスコット的なマネージャーは時代的にももう必要ないんじゃないか? 募集するならメディカルサポーターとして、男女問わずにするべきだと俺は思ってるけどな。全員医学部生なんだから、それくらい自分たちでだってできるだろうし。 だから去年の春は、マネの募集をかけなかったんだ」 …キャプテン、ナイス。 その通りだと思う。 こっそりキャプテンに目を合わせて、ニヤッと賛同を表しておいた。 それにしても、運動部内のマネージャーが絡む恋愛沙汰というのは、大学生になってまで揉め事になるんだな。 今回の男側当事者である本間さんという四年生とは、俺はそんなに親しくないからよくわからないけど… 付き合って半年で別れるとか、しかも揉めるとか。 理解不能。 そして当然、こんな話になっているということは、ここにその本間さんはいない。本人に聞けば、それなりに言い分もあるのかもしれないけど。 とりあえず、マネージャーが退部するだけで治められるといいなと思う。こんなつまんないことで、選手が退部するとか、ちょっとありえない。
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