祝・遠距離終了

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祝・遠距離終了

結花の部屋を東雲不動産にいくつかピックアップしてもらい、結花とお父さんと俺の三人で内見に回り… 三人満場一致で結花の住む部屋が決まった。 俺の部屋から20分近くかかるけれど、今までと比べればものすごく近い。 俺も、このタイミングでもっといい物件に移ることはできなくはなかったんだけど、もう荷物も片付けちゃったし、大学から遠いことは俺にとって別に気になることではないし、何よりめんどくさいしでそのまま住むことに決めた。 拓人から『たまり場にするな』ときつく忠告されていたけど、やっぱり遠いから来たがる奴もいない。 普段からつるんでる二人と、水野さんくらい。 あと、長瀬家次男の智也さんを一回上げただけだな。 うん、優秀。 そして、ようやく結花の引っ越し日が決まり、喜び勇んで当日の力仕事要員に立候補…しようと思ったら、見事に試合とかぶった。 「結花…引っ越しの日、試合休んでいい?」 オンラインで話してた時に思わずそんなことを聞いてみたら、予想通り一蹴された。 「何言ってるの。ダメに決まってるでしょ? うちは男手は余ってるんだから、気にしなくていいよ。時間があるときに遊びに来ていいから」 結花は、俺が練習を休むことを嫌がる。ましてや試合の日に休むとか、ありえない。 元々は俺が、高校の頃そういうスタンスでやってたから、結花もそれが普通だと思ってくれてるんだと思う。確かに殿前時代は、俺がサッカーをすることは半分義務でもあったし、休むなんてありえないことだったんだけど。 今はな… ちょっと緩めたいと、全然思わないわけでもない。 でも、去年のGWに、脚が本調子じゃないからって軽く言い訳をして帰省したのが水野さんの耳に入り、結花がいる前でそのことを問われて… 結花からがっつり怒られた。
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