未遂と捜索

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未遂と捜索

「レイプするか?!レイプ!」 不穏な単語を1人が発すると、連中は一斉に笑い出す。 誰がそんな事させるか。 俺は角を曲がって、笑っている男子達の元に行く。 見たところ知ってる男子は居ない。 皆、凛と同じ1年生ぽかった。 向こうは数人居るが、構うものか。 「おい」 笑っている連中に俺は声をかける。 すると連中は笑いながら俺に視線を向けた。 1番近くで俺に背を向けていた男子も振り返る。 「は?」 どうやら向こうも俺の事を知らない様だ。 全員、逃げる事はなく、ヘラヘラした表情のままで居る。 俺は一気に間合いを詰めると、振り返った男子の1人の胸ぐらを掴んで、絞めあげた。 「凛にそんな事してみろ。あんた等、全員殴り飛ばしてやるぜ」 俺の気迫に、絞められた男子から笑顔が消える。 「何だよ、お前!そいつから手を離せ!」 他の連中の1人が、そう言うと俺に殴り掛かってきた。 右から来たパンチを、男子を絞めたまま、右肘を右に挙げて受け止める。 そして、右足で思い切り脛を蹴り上げてやった。 「ってー…」 「おい、大丈夫か?!お前も、そいつ離せ!」 脛を蹴った男子はうずくまり、絞め上げた男子は苦しそうにしている。 残りの連中が何人かで、うずくまった男子を立たせた。 そして、もう1人、俺に殴り掛かろうとして…止める。 そいつの視線の先を辿って、俺も、ようやく絞めてた男子を離した。 「おい!お前たち何やってるんだ?!」 教師の1人がこっちへやって来る。 「ゴホ!ゴホ!」 俺に絞められてた男子は咳込んだ。 「お前、2年の千夜だな?後輩相手に乱暴は止めろ!」 教師は近くまで来ると、俺を注意する。 俺は教師に事の真相を話した。 「こいつ等全員、り…酒井凛さんをレイプするって笑ってたから…」 「何?!レイプ?本当か、お前達?!」 教師が問いただす後ろから俺は睨みを効かせる。 確かに聞いたんだ。 言ってねーとは言わせねー。 男子達は、俺と目が合った後、しどろもどろになりながらも、認めた。 「えーと、あの、その、それは…はい」 「はいって…女子をレイプしようとするなんて、お前達、何を考えているんだ!」 教師に詰め寄られて連中は皆、タジタジになっている。 俺は教師の注意が連中に向いている間に、そっとその場を離れた。 ひとまず凛を探すのは昼休みにすることにして、俺は一旦、自分の教室へ戻る事にする。 2年A組の教室に入った途端に予鈴が鳴った。 昼休み。 カバンから携帯と冴子が作ってくれた弁当を出した俺は、携帯は懐に入れ巾着袋は手に持って、もう1度1年の教室の方へ行く。
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