出逢い

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出逢い

それに追い打ちをかけるかの様に中2の冬、ばーちゃんが天寿を全うした。 俺は屋敷でも孤立するようになった。 俺の存在理由って何だろう? 誰にも相手にされなくて。 中学生だから、屋敷の庭では遊ばなくなった。 俺が屋敷からも学校からも居なくなっても誰も心配しないだろうな。 居場所の無い俺はいつしか自暴自棄になり始めた。 酒を飲もうとしたら匂いが強烈だったから諦めた。 雀荘で賭け麻雀やろうとしたが、ルールがよく解らなくて、それも諦めた。 後は…。 「坊ちゃん、失礼しやす」 学校が休みの日。 俺は屋敷内で田中を見つけると、部屋まで来る様に言った。 俺に続いて部屋に入って来た田中が、静かにふすまを閉めたところで俺は切り出した。 「田中。タバコとライターを買ってきてくれないか」 「それは構いませんが…坊ちゃん、タバコ吸われるんですかい?」 「ああ」 「…解りやした。近くのタバコ屋まで行ってきやす」 俺の心中を察したのか、田中は咎めることもせずに部屋から出て行く。 田中が居てくれて、俺は首の皮1枚繋がっていた。 田中が居なかったら、生きてる理由を考えられなくなった俺は死を考えていたのかもしれない。 田中からタバコとライターを受け取った俺は屋敷内で吸う訳にもいかず、少し寒いが中学校の裏手に在る神社に向かった。 そこなら人目も無いし、誰かに見つかる心配もない。 神社の境内に続く長い階段を登っていくと、座るのに丁度良さそうな大きな石を見つけた。 座ったところでタバコとライターを取り出す。 口にタバコを咥えて、ライターで火を点けた。 大きく息を吸う。 「スー…ゔっ!ゴホゴホ!」 煙を吸った途端に俺は余りの煙さにむせかえった。 だが、慣れれば咳込まずに吸うことが出来そうだ。 俺がもう一度吸おうとした時だった。 「キャー!嫌あー!誰か助けてー!!」 女の、それもまだガキっぽい泣き喚く声が、俺の耳に聞こえてきた。 …何か厄介な事になりそうだな。 そう思った俺は面倒事に巻き込まれるのはごめんだと思い、タバコを地面に落として足で踏みにじり火を消すと、ライターと残りのタバコを素早く懐にしまい、神社を去ろうと階段の方へ行く。 すると。 「そこのお兄ちゃん!助けて!!」 走って逃げ出して来たのだろう。 後ろから腕を掴まれた。 やれやれ。 仕方なく俺は後ろを振り返る。 俺より1つくらい歳下のガキが息を切らしながら、俺の腕をその小さな両手で掴んでいた。 可愛い顔立ちをしているが、俺は歳下のガキには興味がない。
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