保と凛

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てっきり寒さで両手を震わせているのかと思いきや、俺に告る直前の武者震いだった様だ。 「…は?」 「だ、だからぁ…」 「悪りぃ。俺、ガキには興味ねーから」 そう凛をアッサリ振ると俺は学校の敷地内に入った。 だが、凛は諦めずに俺の後ろを付いてくる。 そして、俺が下駄箱で上履きに履き替える時、凛は言った。 「A組…1番奥の教室ね」 「凛。俺のストーカーしてる場合か。もうじき予鈴が鳴るぜ」 俺の言葉に凛は渋々自分の下駄箱の方に向かった。 その直後、予鈴が鳴る。 凛は慌てて自分の教室に向かった様だが、俺はどうせ遅刻なんだから、とカバンを担いだまま、ゆっくりと教室に向かった。 昼休み。 凛が教室まで来る事を考えた俺は弁当の入った巾着袋だけ持つと、教室を抜け出した。 屋上なら寒いから誰も来ないだろうと思って階段を登っていく。 案の定、屋上には誰も居なかった。 少し寒いが、居場所のない教室で食べるよりマシだ。 俺はフェンスを背に、屋上の一角に座って巾着袋から弁当を取り出す。 今までは料理人かばーちゃんが手伝ってくれているのばかりだったから、完全に自分1人で作ったのは、これが初めてだった。 ひと口食べてみる。 野菜炒めは少し固かったが、それ以外は食えない事はない。 食べ終わって弁当箱を巾着袋の中にしまった俺は、午後の授業をサボろうとちょっと寒いが屋上で昼寝することにした。 風は無いし、日向はまだ寒さはマシな方だ。 教室の中の方が暖かいが、熟睡するとしたら静かな此処だろうな。 自分の両腕を、巾着袋を持ったまま組んで枕代わりにすると俺は横になって目を閉じた。 しばらくしてパタパタパタという上履きの立てる音が階段の方から聞こえてくる。 こんな寒い中に誰だとは思ったが、面倒な俺は気にせずに目を瞑っていた。 「風邪ひくわよ」 鈴を転がした様な可愛い声に聞き覚えがあった。 「…凛こそ、こんな所に居たら寒いだろ」 目を開けるとやっぱ凛が上から俺を除き込んでいた。 「私は、たもっちゃんに会いに来ただけ。もうすぐ予鈴鳴るのに、こんな所に居て良いの?」 「良いんだよ。授業なんざ受ける気になれねーぜ」 「そんな事、言って良いの?今すぐ起き上がって教室行かなきゃダメでしょ!」 昨日に引き続いて、凛に又怒られた。 これじゃあ、どっちが歳上なのか解らねー。 下手な教師より教師っぽいな。 「わーったよ!教室に戻るから、それ以上怒るなって」 「うん。でも、たもっちゃん。授業もきちんと受けなきゃダメよ!」
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