愛を感じて

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 それがきっかけとなり好意的に言うなら、松田さんは事あるたびに私を気にかけてくれている。目を光らせていないと何をするかわからない、というのが松田さんの言い分だ。 「桧垣さんから聞いたんですか」 「さっきまで元気だった久遠ちゃんが、松田の前でもテンション下げてんだもん。桧垣さんに、松田にフラッグ落としたの蒸し返されたのかなーって思うじゃん」 「あまり気にしない方がいいですよ。自然体でやれば大丈夫ですから」 「自然体でやった結果、松田さんの頭にフラッグ直撃させたのは、みゆりんですけどね」  フォローを入れてくれる理咲ちゃんに対し、茶々を淹れてくるのは柚香さんだ。 「加納、一言余計だ」 「でもまたフラッグ落としたら、それはそれで面白い――」 「立花さん」  理咲ちゃんの非難めいた声に、立花さんが口を塞ぐ。  そう。立花さんのように、何かやらかしたら面白いと思っている人はいる。例えば、大きな口を開けて唐揚げを頬張っている柚香さんもその一人だ。 「先のことを悩んでいても、しょうがないだろ。ちゃんと食えよ」 「食欲がないです。松田さん、食べます?」
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