愛を感じて

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「みゆりん、料理は人並みにできますから味は保証しますよ。唐揚げ食べます?」  柚香さんが、唐揚げが入ったタッパーを回す。  理咲ちゃん、立花さんが唐揚げを取り、タッパーを松田さんに回す。柚香さんが食べ物を人に分け与えるのは珍しい。唐揚げは残ったら晩酌のつまみにしたはずだ。 「残りは私の夕飯ですから。ビール飲みながら、唐揚げつまむんだー」  唐揚げが残っていることを確認した柚香さんは、タッパーに蓋をする。 「独身だった頃の俺と、大して変わらない食生活してんね、加納。……うまいじゃん、久遠ちゃん」 「ありがとうございます」 「ふっくらしてますね。私、好きです」  理咲ちゃんがもぐもぐと口を動かす。その姿はリスが食べ物を食べているようで、可愛らしい。おいしそうに食べてくれるのが嬉しい。 「松田、うまいよな」  立花さんの声に、松田さんを振り向く。  松田さんは私を見ると、ゆっくりと頷く。目つきに定評のある松田さんだが、今はその目に鋭さはない。 「おいしかった」 「あ、ありがとうございます」  面と向かって松田さんに褒められて、気恥ずかしくなる。早起きして作ってよかった。
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