雨上がりの月夜に

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「いなくなったというのは、いつ頃のことですか?」 私は調書を開き、女の話を書き取り始めた。 「はい、お昼を過ぎた頃だったと記憶しています。 確かその時は、遅い昼食をとろうと少し坊やから離れた場所に移動しました。ほんの数分だったと思います。それからすぐに坊やの所に戻ると、ミルクを飲み終え寝ていたはずの坊やが見当たらないのです。 私は辺りを見回し、坊やの名前を呼びました。けれども、坊やの返事も泣き声も、全く聞こえないのです。 私は不安になり、あちこちを探しいろいろと声をかけ、必死になって聞いて回りましたが、一向に見つかりませんでした。 すると、突然気を失うように睡魔に襲われ、手足に力が入らなくなり、身体もあまり動かせないようになったのです。 そのため今、私はここを離れることができません。ですからどうかお願いします。私の代わりに坊やを探していただけないでしょうか」 何か事情がありそうな感じではあったが、素性のわからない女の話を、どう受け止めればよいのか私にはわからなかった。 しかし、嘘ではないようにも思えたので、少し探すのを手伝うことにした。
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