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「……というか、当たり前みたいに子供の話してるけど、お前作る気あるんか?」
「作らないの?」
「……いやだって、お前、好きなやつおったやろ」
「あー、やだやだあの人の話はもうしないでください。もう忘れたんだから。」
「……じゃあまさか、今は俺のこと好きなんか?」
「さぁ?」
さぁって。そこは良い感じに即答してほしかった。
「でも、これから好きになれそうって思ってますよ。」
アルマはこっちを見て微笑んでいる。一瞬、どういう意味なのか考えて、それが何を意味するのか理解すると体が熱くなった。
「……墓の前じゃぞ!」
弟たちが聞いていたら恥ずかしいだろうが、と怒ったふりをしながら、俺は照れた顔を隠すために家に入った。
「アジー、待ってよ。」
アルマが茶化すような声で家に入る。夏ミカンの匂いが、裏庭にふわっと漂った。
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