【短編】傷の残しかた

３

性欲は大人からの抑制で抑えられるものじゃない。誰だって、男女問わず、親に隠れて多少は遊んでいるものだ。女癖が悪い男も、その逆も、どこの地域にだっているだろう。
でもアルマは遊んでいる様なタイプには見えない。俺がそう思い込みたいだけかもしれないけど、「させこ」が漂わせる独特な空気をこの子からは感じられない。

布団の中で丸くなって眠るアルマを俺は愛おしいとは思う。俺は体を重ねたあの日からだんだんこの子のことを好きになっていた。我ながら単純な野郎だ。
だから大切にしてやりたいと思うし、何か傷ついたのならそれを取り除いて癒してやりたいとも思う。

それでも、この前まで赤の他人だったこの子の心に、俺はこれ以上踏み込んでしまっていいのだろうか。