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「だから、あの子は実家に売られたと思っとるじゃろうし、そんな実家には帰りたくないと思うのが普通じゃあないかと思うんよ。」 「それでも、俺一回あの子の家に行ってみる。」 三里離れた村なら歩いて三時間はかかるだろう。昼過ぎまでアルマは家にいたらしいから、もし実家の方へ戻ったとしたならそろそろ到着するくらいのはず。 日が暮れてきた。間もなく男でも歩きたくないほどの暗闇が山道を覆う。 俺は明かりを灯しながら、借りてきた馬を走らせて、薄暗闇の中へ入っていった。
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