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アルマの実家は麓の町に近い場所だ、基本的には山を下れば着く。
夜道を馬に走らせるのは抵抗があったけど緊急事態だ、慎重に慣れた道を選んで走り抜ければ一時間くらいで辿り着いた。
親父の知り合いの家の隣だと言っていたから、実家の場所ならすぐにわかった。
でも、アルマは帰ってきていないと彼女の母親は言う。
「じゃあ心当たりはないですか」と聞くと、彼女の母親は眉をしかめて「もっと奥に、庭が見事なお家があるからそこじゃないかしら」と言った。
そしてアルマに似た細い声で、「父親が怖いからできればもう来ないでほしい」とも。
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